漢方は、中国から日本へ奈良時代にやってきました。それ以来、日本の風土や気候に合わせ、日本独自の医学体系を発展させてきました。医療で使われている医術が西洋の文化から由来するものであるのに対し、漢方薬を使った治療は、東洋医学と呼ばれています。西洋医学は、画像検査や血液検査、精密検査などで病気を確定し、治療する方法が特徴的であるのに対し、漢方治療は、検査をしても特に体に異常がみられない時に起こる不定愁訴の治療に効果があります。
漢方の成分は主に生薬と呼ばれるものです。植物の葉や種子、樹皮、果実や根と鉱物などを2種類以上組み合わせて作られたものです。ショウガやゴマも生薬の一種です。生薬をお湯で煮だし、服用する煎じ薬、煎じた薬を乾燥させ粉状にした粉薬、煎じ薬を加工して固形にした錠剤タイプがあります。漢方治療は、病気となっている部分に治療を施すのではなく、どうしてそういった症状が出ているのかという事を考えながら体のバランスを観察し、血液の流れを整えたり、体質改善をはかることで症状を改善していく根本治療を目的としています。そのため、不眠や冷え性の治療として漢方薬を飲んでいたのに、ニキビや便秘まで改善してしまったということがよくあります。これは、体質改善によるものです。
漢方専門外来のクリニックで看護師として仕事をする場合、ケガの処置や注射、点滴といった治療行為はありません。必要とされるスキルは、漢方薬の煎じ方や服薬方法を患者へ説明したり、日常生活の過ごし方を患者にアドバイスし、診察補助や必要に応じて採血をするなどです。